牛肉の「A5ランク」ってどういう意味? ― 和牛の本当の美味しさを見極める基準とは
焼肉店やステーキハウスでよく見かける「A5ランク牛肉」の表記。クーポンサイトでも「A5ランク和牛が半額!」なんて文句に、つい惹かれてしまうこともありますよね。
でも、実はその「A5」という表記の意味、正しく理解できていますか?見た目のランクに惑わされずに、本当に美味しい牛肉を選ぶための基礎知識をご紹介します。
国産牛と和牛の違いをおさらい
まずは、「和牛」と「国産牛」の違いから整理しておきましょう。
- 和牛
日本で古くから改良・交配されてきた在来種がもとになっています。以下の4種類のみが「和牛」として認定されています。- 黒毛和種(日本で最も一般的)
- 褐毛和種
- 無角和種
- 日本短角種
- 国産牛
牛の品種に関係なく、日本国内で飼育された期間が3か月以上であれば「国産牛」と表示されます。たとえば、アメリカ産の牛でも日本で3か月以上飼育されていれば「国産牛」になります。
👉 和牛=高級で国産=安心、というイメージがあるかもしれませんが、「国産牛」と「和牛」は明確に異なる分類です。
牛肉の格付け「A5」とは?
「A5ランク」とは、牛肉の格付けを表すもので、次の2つの指標を組み合わせて決定されます。
- 歩留等級(A・B・C)
- 肉質等級(1〜5)
歩留等級:肉の取れ高を示す指標
歩留(ぶどまり)等級は、牛1頭からどれくらい肉が取れるかの割合を示しています。
等級 | 意味 |
---|---|
A等級 | 標準より多く肉が取れる |
B等級 | 標準的な量が取れる |
C等級 | 標準より少ない |
肉質等級:見た目と霜降りの程度で評価
肉質等級は、肉の「見た目」や「サシ(霜降り)」の度合いで評価されます。特に重要なのが「BMS(牛脂肪交雑基準)」という指標です。
BMS(Beef Marbling Standard)
BMSは、赤身の中にどれだけ霜降り(脂肪)が入っているかを示す数値で、No.1(最低)〜No.12(最高)で格付けされます。
BMS値 | 肉質等級 |
---|---|
1 | 1等級 |
2 | 2等級 |
3〜4 | 3等級 |
5〜7 | 4等級 |
8〜12 | 5等級 |
「A5ランク」は確かに最上級。でも…
つまり、「A5ランクの牛肉」とは…
- 歩留等級がA(肉の取れ高が多い)
- 肉質等級が5(霜降りが非常に多い)
…という、見た目と取れ高において最高評価の牛肉ということになります。
でも、A5=美味しいとは限らない理由
「A5ランク」と聞くと、最高級・絶品というイメージがありますが、注意点もあります。
1. A5の中でも質に幅がある
同じA5ランクでも、BMSが8と12では霜降りの度合いが全く違います。高級ステーキ店などでは、BMSが11~12のものを使うことが多く、クーポンで提供されるA5はBMS8~9程度であることもあります。
2. ブランド牛とは別物
A5ランクと「松阪牛」「神戸牛」などのブランド牛はイコールではありません。ブランド牛は、育てられた地域・期間・飼料・血統などに厳格な基準があります。
3. 見た目の評価であって、味とは別
肉質等級は「霜降りの度合い」など、人の目で判断する項目が中心です。実際の味、脂の旨味、柔らかさなどは、必ずしも一致するとは限りません。
では、本当に美味しい牛肉の見分け方は?
A5ランクはあくまで一つの「目安」。以下のようなポイントも意識して選ぶと、より美味しい牛肉に出会える確率が上がります。
✔ ブランド牛の表示を確認
「○○牛(例:米沢牛、近江牛など)」という表記がある場合、その地域ブランドの基準を満たした高品質の可能性が高いです。
✔ カットされた肉の色と艶を見る
新鮮な牛肉は明るい赤色で、脂に艶があります。変色や乾燥が見られるものは避けましょう。
✔ 自分の好みに合った脂の量を選ぶ
霜降り(サシ)が多すぎると脂っこく感じる人も多いです。赤身が多い部位や肉質等級4くらいの方が好みという方も少なくありません。
まとめ
表記 | 意味 |
---|---|
A5ランク | 歩留が良く、見た目の霜降りが非常に多い |
和牛 | 日本の在来種を改良した4種の牛 |
国産牛 | 日本で3ヶ月以上飼育された牛(品種は問わない) |
「A5ランク=最高の味」と思い込まず、自分の好みに合った肉質やブランド、部位を見極めるのが『本当に美味しい牛肉』への近道です。
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